相談事例集
相談事例集⑤ 知的財産権の問題

納品したサンプル作品を一方的に販売・利用された事案(ライター・年代不明) ※他にも、デザイナー、イラストレーター業にも見られる事案

相談内容

書籍のカバーのデザインのサンプルを作成することとなりました。契約書は作成せず、クライアントの要望に応えて、サンプルを納品し、製作費用として3万円を支払ってもらいました。サンプルとはいっても、サンプルの出来栄えに納得がいってもらえば、そのまま書籍のカバーにデザインになると説明を受けていました。そのため、私も、時間をしっかりかけて、作成したものです。このデザインについての著作権の取り決めはしていませんでした。また、実際に書籍の出版が決まった段階で、正式なデザイン料を決めるというお話を聞いていました。
ところが、後日、クライアントが経営するスクールで、私のデザインがスクールの教材に使用されていることがわかりました。
そのことを、クライアントに指摘したところ、「書籍として出版する場合には対価を支払う」とは言ったが、スクールの教材に使用する場合には支払うとは言っていないと言われてしまいました。全く納得できません

回答内容

著作権譲渡の約束をしていない以上、サンプルのデザインの著作権は相談者にあります。クライアントが、そのデザインを使って、別の教材に利用する行為は、相談者の著作権を侵害しています。理論的には、販売及び利用の差止め(著作権法112条)、損害賠償を求めることが出来ますので、著作権侵害による差止めや損害賠償をせざるを得ないというスタンスで、今後もこのデザインを使用するのであれば、追加の報酬を支払うよう交渉してよいでしょう。

ポイント

フリーランスを作成したデザインの対価を支払ってもらったからといって、そのことのみをもってデザインの著作権を譲渡したことにはなりません。
そのため、著作権等の権利が誰に帰属するか(誰のものか)をはっきりさせておきましょう。発注者からの依頼に基づいてフリーランスが、作品を制作しても著作権はフリーランスに帰属します。この点については、発注者が制作料を支払ったから著作権は発注者にあると誤解している人も多いので注意が必要です。
一方で、発注者に著作権等を譲渡するのであれば、契約でその旨を定めておく必要があります。

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