相談事例集
相談事例集⑥ 競業避止義務の問題

辞めた後3年間は半径20km圏内の同業店舗で働いてはならないとの誓約書にサインさせられた事案(ネイリスト・20代) ※他にも、美容業、インストラクター・講師業にも見られる事案

相談内容

3年ほど前から業務委託で発注者の店舗(ネイルサロン)でネイリストの仕事をしています。店舗オーナーとの人間関係が悪くなってやめたいと申し出たところ、オーナーから「ネイルサロンを辞めた後3年以内は、半径20km圏内の同業サロンで働いてはならない。違反が発覚した場合は、損害賠償を請求する」と記載がある誓約書にサインするよう求められ、半ば強制的にサインさせられました。半径20kmでの範囲でネイリストとして働けないとなると、自宅からの通勤エリアでネイリストとして活動することができません。私はオーナーからネイルの技術を教わったことなどもありません。
このままでは、次の働き先が見つけられない。どうしたらよいでしょうか。

回答内容

オーナーからネイルの技術を教わったわけでもないのだとすると、フリーランスの育成投資費用の回収の目的も特にないといえます。そのうえ、半径20km圏内で、辞めてから3年間もの間、競業が禁止されるという内容は、その期間や場所的範囲、代償措置(金銭的な手当)もないこと等を踏まえると、合理的に必要な範囲を超えた制約を課すものとして、この誓約書は無効となる可能性が高いでしょう。
半強制的に誓約書を書かされた経緯からしても、誓約書の内容について、真に同意してサインしたものではなく、誓約書は無効と判断される可能性もあるでしょう。

ポイント

秘密保持・競業避止・専属義務の条項は、発注者の営業秘密を守る必要性やフリーランスに対する育成投資費用の回収のため、合理的に必要な範囲内であれば直ちに独占禁止法上違法となるものではありません。しかし、フリーランスに対し一方的に、合理的に必要な範囲を超える秘密保持義務、競業避止義務、専属義務を課す場合は、優越的地位の濫用として問題となる可能性があります。
フリーランスとしての仕事を過度に制限する条項がある場合は、誓約書などの書面に、すぐにサインをせず、削除や合理的に必要な範囲の条項への修正を求めた方がよいでしょう。

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