相談事例集
相談事例集⑦ 一方的な発注取消し

発注者のために受託の体制を整えていた状況における、委託契約を一方的に解約された事案(漫画家・30代) ※他にもライター、イラストレーター、翻訳家にも見られる事案

相談内容

これまでも継続して依頼を受けていた依頼者から、今後も引き続き一定量の発注を行う予定であるとの説明を受け業務委託契約を締結しました。依頼者からの説明によれば、ほかの仕事を受けることができないほどの作業量が想定されたため、私は、半年先までの期間の他の仕事を断って、依頼者のためにお仕事を引き受ける態勢を整えていました。実際、この依頼者からは、これまでにも、仕事を発注する前に、他の仕事を受けないように求められることが多くあったからです。
ところが、今回は、その依頼をして数か月後、突然、契約を一方的に解約するとの通知をされてしまいました。私は、依頼者から説明を受けた仕事を受けるため、他のお仕事の依頼を断っていたので、私の収入が激減することになりました。

回答内容

発注者の都合で、途中で契約が一方的に解約された場合、相手方に契約を解約されたことによる損害賠償請求が出来る場合があります。
契約内容が請負契約の場合であれば、民法641条に基づいて、請負人が仕事を完成するまでの間に契約を解除されたことによる損害賠償請求を求めることが出来る場合があります。
契約内容が委託契約であれば、民法651条2項に基づき、相手方の不利な時期に解約されたことによる損害賠償請求を求めることが出来る場合があります。
本件の場合、発注前の依頼者の説明に基づき、その依頼を受けるために他の仕事を断って、仕事を受ける態勢を整えていたにも関わらず、その事前の説明とは異なり、一方的に契約を解約されています。この解約により受託者に損害が発生したといえる可能性があるので、発注者に対し、損害賠償請求を求めてみることをアドバイスした。

ポイント

民法では、請負契約の場合は、請負人が仕事を完成する前であれば、委託者は自由に契約を解除することが出来ます(民法641条)。委託契約の場合は、いつでも契約を解除出来ます(民法651条)。その一方で、請負契約であれば、契約解除により請負人に発生した損害賠償義務を負うことが規定されています。また、委託契約の場合は、相手方の不利な時期に解約した場合は、契約を解除した委託者は受託者に対し損害賠償義務を負うことが規定されています。これらの損害賠償を請求するには、この契約解除により具体的に発生した損害が立証できるかがポイントとなります。

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